Classici giapponesi con furigana
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さかたのばあい
坂田の場合
豊島 与志雄
Leggi 坂田の場合 (さかたのばあい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.335 caratteri · 29 schermate
これが彼の財産のそもそもの根源で、そしてこれだけは、俺の与り知らないところだったし、また彼の豪いところだといってもいい。
彼の父が亡くなった後、彼と中学時代からの親友の室井がやって来て、どれくらい遺産があるかと尋ねた。だが遺産というほどのものはなかった。住宅、隣りの貸家一軒、母と彼との名義の貯金少々、他に時価二万円ばかりの株券及び公債、それで全部だった。然し、それで結構だ、と室井は云うのだった。そして五千円ばかりの担保物件を貸せといい出した。少しまとまった金の入用が出来て、五千円ばかり不足だから、銀行からそれだけ借りるための担保を融通してくれ、三年間の期限だ、二倍か三倍にして返してやろう、もし返せなかったら、君自身の力でそれくらいな担保は受戻せるだろうし、それも出来なかったら、遺産が少なかったと思って、諦めればいい……まあざっとそういう話だった。坂田は承諾して、公債を担保に融通してやった。すると三年後に、三倍の一万五千円ほど室井は持ってきた。万事うまくいったと笑っていた。そして彼自身は、可なりの金を懐にして、ぷいと満州に行ってしまった。信用のおけるようなまたおけないような快男子だ。