Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate

Aozora Bunko

弱輩な自分にはこの機合がまだ呑み込めなかったもんだから、原さんの前に立って顫えながら、へどもどしていると、原さんも気の毒になったと見えて、

「あなたさえ帰る気なら、及ばずながら相談になろうじゃありませんか」

と向うから口を掛けてくれた。こう切って出られた時に、自分ははっとありがたく感じた。ばかりなら当り前だがはっと気がついた。――自分の相談相手は自分の志望を拒絶するこの原さんを除いて、ほかにないんだと気がついた。気がつくと同時にまた口が利けなくなった。是非坑夫にしてくれとも、帰るから旅費を貸してくれとも言いかねて、やっぱり立ちすくんでいた。気がついても何にもならない、ただ右の手で拳骨を拵えて寒い鼻の下を擦ったように記憶している。自分はその前寄席へ行って、よく噺家がこんな手真似をするのを見た事があるが、自分でその通りを実行したのは、これが始めてである。この手真似を見ていた原さんが、今度はこう云った。

「失礼ながら旅費のことなら、心配しなくっても好ござんす。どうかして上げますから」

旅費は無論ない。一厘たりとも金気は肌に着いていない。のたれ死を覚悟の前でも、金は持ってる方が心丈夫だ。