Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate

Aozora Bunko

「ええ、好ござんす」

自分は初さんに連れられて表へ出た。所が降っている。一番先へ笠へあたった。仰向いて、空模様を見ようとしたら、顎と、口と、鼻へぽつぽつとあたった。それからあとは、肩へもあたる。足へもあたる。少し歩くうちには、身体中じめじめして、肌へ抜けた湿気が、皮膚の活気で蒸し返される。しかし雨の方が寒いんで、身体のほとぼりがだんだん冷めて行くような心持であったが、坂へかかると初さんがむやみに急ぎ出したんで、濡れながらも、毛穴から、雨を弾き出す勢いで、とうとうシキの入口まで来た。

入口はまず汽車の隧道の大きいものと云って宜しい。蒲鉾形の天辺は二間くらいの高さはあるだろう。中から軌道が出て来るところも汽車の隧道に似ている。これは電車が通う路なんだそうだ。自分は入口の前に立って、奥の方を透かして見た。奥は暗かった。

「どうだここが地獄の入口だ。這入れるか」

と初さんが聞いた。何だか嘲弄の語気を帯びている。さっき飯場を出て、ここまで来る途中でも、方々の長屋の窓から首を出して、

「昨日のだ」

「新来だ」

と口々に罵っていたが、その様子を見ると単に山の中に閉じ込められて物珍らしさの好奇心とは思えなかった。