Classici giapponesi con furigana
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こうふ
坑夫
Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate
相手の長蔵さんがまた申し合せたように右左と覗き込むので、こっちはますます食意地が張ってくる。自分はこの長い町を通りながら、自分らに適当と思う程度の一膳めし屋をついに九軒まで勘定した。数えて九軒目に至ったら、さしもに長い宿はとうとうおしまいになり掛けて、もう一町も行けば宿外れへ出抜けそうである。はなはだ心細かった。時にふと右側を見ると、また酒めしと云う看板に逢着した。すると自分の心のうちにこれが最後だなと云う感じが起った。それがためか煤けた軒の腰障子に、肉太に認めた酒めし、御肴と云う文字がもっとも劇烈な印象をもって自分の頭に映じて来た。その映じた文字がいまだに消えない。酒の字でも、めしの字でも、御肴の字でもありあり見える。この様子では、いくら耄碌してもこの五字だけは、そっくりそのまま、紙の上に書く事が出来るだろう。
自分が最後の酒、めし、御肴をしみじみ見ていると、不思議な事に長蔵さんも一生懸命に腰障子の方に眼をつけている。自分はさすが頑強の長蔵さんも今度こそ食いに這入るに違なかろうと思った。ところが這入らない。その代りぴたりと留った。見ると腰障子の奥の方では何だか赤いものが動いている。