Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ほうおんき

報恩記

芥川 竜之介

Leggi 報恩記 (ほうおんき) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.803 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

どうかその仔細を御聞きの上、罪びと北条屋弥三右衛門にも、天帝の御愛憐を御祈り下さい。

ちょうど今から二年ばかり以前の、冬の事でございます。ずっとしけばかり続いたために、持ち船の北条丸は沈みますし、抛げ銀は皆倒れますし、――それやこれやの重なった揚句、北条屋一家は分散のほかに、仕方のない羽目になってしまいました。御承知の通り町人には取引き先はございましても、友だちと申すものはございません。こうなればもう我々の家業は、うず潮に吸われた大船も同様、まっ逆さまに奈落の底へ、落ちこむばかりなのでございます。するとある夜、――今でもこの夜の事は忘れません。ある凩の烈しい夜でございましたが、わたし共夫婦は御存知の囲いに、夜の更けるのも知らず話して居りました。そこへ突然はいって参ったのは、雲水の姿に南蛮頭巾をかぶった、あの阿媽港甚内でございます。わたしは勿論驚きもすれば、また怒りも致しました。が、甚内の話を聞いて見ますと、あの男はやはり盗みを働きに、わたしの宅へ忍びこみましたが、茶室には未に火影ばかりか、人の話し声が聞えている、そこで襖越しに、覗いて見ると、この北条屋弥三右衛門は、甚内の命を助けた事のある、二十年以前の恩人だったと、こう云う次第ではございませんか?