Classici giapponesi con furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Leggi 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.485 caratteri · 93 schermate
心の中には、もう、一種、自若としたものが出来ていた。
老人は、やるせないまでに衰えた声で、ひくくこたえた。
「おいたわしいことです」
長い沈黙が、つづいた。
薄光りのする夜の海を眺めながら、ただひとり、わびしげに、涙で頬をぬらしていた少女の俤が竜太郎の心のうえにほのぼのと浮びあがってきた。
エレアーナ王女はあの時すでに、今日のこの悲劇的結末をはっきりと知っていたにちがいない。その遣る瀬ない涙の意味を、竜太郎は察しることが出来なかった。
今迄飽き飽きするほど見馴れた、女性の生理的な感傷だと、頭からきめてかかって、ふりかえって見ようとはしなかった。
(せめて、優しい言葉でもかけることか、まるで、平手打ちでも喰わせるような真似をした)
どんなに悔んでも悔み足りないような気持だった。思いがけない偶然で、今日、河沿いの街で、あの夜の純情と誠実に、いささかながら酬いることが出来たことがせめてもの心やりだった。老人が、急に、口を切った。
「とつぜんですが、私を紹介させていただきます」
苦味のある微笑を唇のはしに浮べながら、
「じつは、かくいう私が前の陸軍大臣イゴール・アウレスキーなのです」