Classici giapponesi con furigana
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だんのうらのおにび
壇ノ浦の鬼火
下村 千秋
Leggi 壇ノ浦の鬼火 (だんのうらのおにび) di 下村 千秋 (しもむらちあき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7170 caratteri · 15 schermate
それから、すべるようにみがきこんだ、長いろうかをいくまがりかして、かぞえきれないほどの、部屋べやの前をすぎて、やがて大広間へ案内されました。そこには、かなりおおぜいの人びとが息をひそめて、いならんでいることが、そのけはいでわかりました。やわらかな衣ずれの音が、森の木のすれあうように聞えました。
法師は、大広間の床の間と、はんたいがわと思われるところに、ふっくらとしたざぶとんの上にすわらせられました。法師はきちんとすわり、持って来たびわをひきよせると、耳もとで老女らしい声がしました。
「平家の物語――壇ノ浦を弾じてください。」
三
法師はしずかにびわをとりあげました。大広間のうちは、水をうったようにしんとなりました。はじめは小川のせせらぎのように、かすかにかすかに鳴りだし、ついで谷川の岩にくだける水音のようにひびきだして、法師のあわれにも、ほがらかな声が、もれはじめました。その声は一だんごとに力を増し、泣くがように、むせぶがようにひびきわたりました。その声につれて弾ずるびわの音は、また縦横につき進む軍船の音、矢のとびかうひびき、甲胄の音、つるぎの鳴り、軍勢のわめき声、大浪のうなり、壇ノ浦合戦そのままのありさまをあらわしました。