Classici giapponesi con furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Leggi 夏の葬列 (なつのそうれつ) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 60.161 caratteri · 122 schermate
夏の葬列
海岸の小さな町の駅に下りて、彼は、しばらくはものめずらしげにあたりを眺めていた。駅前の風景はすっかり変っていた。アーケードのついた明るいマーケットふうの通りができ、その道路も、固く鋪装されてしまっている。はだしのまま、砂利の多いこの道を駈けて通学させられた小学生の頃の自分を、急になまなましく彼は思い出した。あれは、戦争の末期だった。彼はいわゆる疎開児童として、この町にまる三カ月ほど住んでいたのだった。――あれ以来、おれは一度もこの町をたずねたことがない。その自分が、いまは大学を出、就職をし、一人前の出張がえりのサラリーマンの一人として、この町に来ている……。
東京には、明日までに帰ればよかった。二、三時間は充分にぶらぶらできる時間がある。彼は駅の売店で煙草を買い、それに火を点けると、ゆっくりと歩きだした。
夏の真昼だった。小さな町の家並みはすぐに尽きて、昔のままの踏切りを越えると、線路に沿い、両側にやや起伏のある畑地がひろがる。彼は目を細めながら歩いた。遠くに、かすかに海の音がしていた。
なだらかな小丘の裾、ひょろ長い一本の松に見憶えのある丘の裾をまわりかけて、突然、彼は化石したように足をとめた。