Classici giapponesi con furigana
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よるのちょう
夜の蝶
山本 周五郎
Leggi 夜の蝶 (よるのちょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.345 caratteri · 21 schermate
「おれにも白馬を一杯くれ、そのあとでぶっかけだ」
「まだ飲むのか」と与平が云った。
「こっちにも一杯」と勇吉が云った。「おらあ飯は食わねえ、しぐれ煮を貰おうかな」
旅装の客は徳利を振った。もう酒はなかった。与平は心得ていたらしい。銅壺の中から徳利を出し、燗のぐあいをみて「ちょっと熱くなりました」と云いながら客の前へ置いた。旅装の客はそれを取って六兵衛に差しながら訊いた。
「あの娘は、そのじぶんから、あんなふうになったんですか」
「養子を取ってからでしたよ」と六兵衛は酒を受けながら云った。「よっぽど高次に惚れてたんでしょうな。初めは養子を振るための狂言だろうっていわれたもんです。気のふれるほど好きだったなんて、おふくろさんも知らなかったようですからね」そして盃の酒をひと口飲んで首を振った。「まったく可哀そうなもんです」
「それにつけても憎らしいのは野郎だ」与平はこう云って、注文の品をのせた盆を持ち、飯台のほうへゆきながら続けた。
「どこでどうしてやがるか、あんな罰当りなことをする野郎は、どうせ、まともな暮しはできゃあしねえ、悪銭身に付かず、遣いはたしたあとは泥棒かぺてん師にでもなって、臭い飯の二、三度も食ったあげく、ことによると、もうお仕置にでもなってるかしれねえ」