Classici giapponesi con furigana
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
Leggi 夜の靴 (よるのくつ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.056 caratteri · 213 schermate
毎日したしく話していた朝鮮人も、その日からぱったり私らと話さなくなったんですよ。お金も家も何もかも奪られてしまうし。」と一人がいう。
「あたしはそうじゃなかった。あなたここで朝鮮人になってしまいなさいって、そういってくれるんです。なってやろうかなと、あたしは思った。今さら郷里へ帰ったってねえ。」
こういう声を後にして三時に新庄へ着いた。醤油醸造家の井上松太郎氏の邸宅へ向う。この夜ここで催される座談会に私は出席するためである。
井上氏の庭は数千坪の見事なもので、廊下でつながった別棟の数軒に囲まれた広い庭の中央に、大きな池があり、根元から五つに岐れた榧の大木が枝を張っている。島にかかった俎形の石橋が美しく、左端の池辺にのぞんだ私たちに当てられた部屋には日光室もある。小雨が降って来て、濡れた落葉の漂う庭の向うからショパンの練習曲が聞えて来る。疎開して来ている大審院の検事総長の部屋のピアノだとのことだ。落葉の静かな池辺によく似合った曲で、晩秋の東京の美しさがこういう所へ移って来ているのを感じた。
夕食に最上川で獲れた鮭が出る。見事な味で、その他、鮪、豆腐、なめこ、黄菊、天麩羅、生菓子、いくら等。