Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よるのくつ

夜の靴

横光 利一

Leggi 夜の靴 (よるのくつ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.056 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

だんだん灯の点いていく希望ほど美しいものはない。暗黒の運命の底にも駅駅があり、そこを通過して縫いすすむ夜汽車の窓よ。元気を失うことなかれ。

どんなことが世の中に起ろうとも、例えば、現在のように世界がひっくり返ろうと、何の痛痒も感じない人物がいるものだ。農家の中には、ときどきそのようなものもある。まるで働く場所そのものの田畑以外は、世界は彼らにとって幽霊のようなものだ。いや、むしろ、日本が敗けたがために彼らは儲けているという苦しみと喜び。しかし、それとはまったく別に、敗戦を喜ぶ苦痛もあるにはある。そして、それらの心が喜びを抱いて現れて来つつあるということの苦しい裏には、人間よりも、人類を愛することだと思い得られる、ある不可思議な未来に対する論法をひっ下げていることだ。今のところ土産はまだ論法であって、人間ではない。世界をあげての人間性の復活に際して、人間性を消滅させたこの人類論法の袋の中から、まだ幾多の土産物が続続とくり拡げられてくることだろう。それが善いか悪しいかは、残念なことにまだ私には分らない。ただ私に分ることは、何となく残念なことだけだ。

九月――日