Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よるのくつ

夜の靴

横光 利一

Leggi 夜の靴 (よるのくつ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.056 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

「あたしもお姑さんがほしかったわ。」と、神妙な顔で云った。

どういう了簡か私も笑い出した。「まア、そしたら三日だね。」

「そうかしら。でも、あたしはそしたら、こんなに我ままにならなかったと思うわ。」

「嫁の苦労なんて、人生で一番つらいことの一つだよ。最たるものかもしれないね。」

「いえ、あたしはやってみせる。」

私は唖然として妻の顔をみていた。しかし、姑がなくて倖せだったと云われるよりもまだましだ。辛抱出来るかな、出来ないね、とまた私は思った。

「しかし、あれを辛抱し通せるような人なら、女としてはまア八十点だ。」

「でも、そんなことぐらい……」

「お前は亭主を尻にしく傾向があるから、ひょっとすると出来るかもしれないなア。しかし、男にとって何が辛いと云って、阿母と細君とに啀み合われるほど辛いことはないものだ。あれは鋸の歯の間で寝ているようなものだよ。お前の苦労なんてものは、僕が毎日傍にいることぐらいなもんじゃないか。」

「ほんと、あたしはあなたがどこかへお勤めしていて下されば、どんなにいいかしらと思うわ。もう毎日毎日、傍にいられる苦労には、あたし、それを思うと、もうぞっとしてくるの。