Classici giapponesi con furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Leggi 夜光虫 (やこうちゅう) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.871 caratteri · 134 schermate
裸の娘
その日、朝から降り出した雨は町に灯りがつく頃ふとやみそうだったが、夜になると急にまた土砂降りになった。
その雨の中で、この不思議な夜の事件が起ったのである。
不思議といえばよいのか、風変りといえばよいのか、それとも何と形容すればよいのだろうか。
新聞記者なら「深夜の怪事」とでも見出をつけるところだろうが、しかしこの事件は大阪のどこの新聞にも載らなかった。
たまたまその日がメーデーだったので、新聞はその方に多くのスペースを割かねばならず、大阪の片隅に起ったそんな出来事なぞ、どうでもよかったからだ――というわけではない。
もっとも、事件そのものは取るに足らぬ些事に過ぎなかった。事件というより、出来事といった方がいいくらいだ。しかし、耳かきですくうような、ちっぽけな出来事でも、世に佃煮にするくらい多い所謂大事件よりも、はるかにニュース的価値のある場合もあろう。たとえば、正面切った大官の演説内容よりも、演説の最中に突如として吹き起った烈風のために、大官のシルクハットが吹き飛ばされたという描写の方を、読者はしばしば興味をもって読みがちである。