Classici giapponesi con furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Leggi 夜光虫 (やこうちゅう) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.871 caratteri · 134 schermate
好奇心は女の方が強いのだ。しかも若い娘の場合は、一層はげしいのだ。
そう知っていながら、小沢はしかし腕を伸ばせなかった。いわゆるインテリの気の弱さであろうか。
一つには、娘の正体がまったく解らないということも、小沢を自重させていた。それに、娘の方から寝台へ誘ったといっても、万一それが無邪気な気持からであったとすれば小沢の思い違いはきっと悔恨を伴うだろう。
「君、こうしていて怖くない……?」
小沢はそうきいてみた。すると、娘は、
「怖くないわ、あたし怒らないわ」
と言った。
小沢は暫らく口も利けなかった。
その夜のことは小沢にとって思いもかけぬことばかしであったが、しかし、娘のその言葉ほど小沢を驚かせたものはなかった。
「これが若い娘の口から出る言葉だろうか。いや、恋人に言うならまだしも、おれはただ行きずりの男に過ぎないじゃないか」
小沢は間抜けた顔をして、芸もなくなっていたが、やがて口をひらくと、
「本当に、何をされても平気なのか。僕がどんなことをしても、怒らないのか」
娘は黙ってうなずくと、そっと小沢の方へ寄り添うて来た。
小沢は身動きもしなかった。