Classici giapponesi con furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Leggi 夜光虫 (やこうちゅう) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.871 caratteri · 134 schermate
「う、う、う……」
娘はうなずき、うなずきながら鳥の啼くような声を、痩せた喉から、
「う、う、う……」
絞り、絞り出した。
「なんや、唖か」
男は自分の耳へ、女のようにきゃしゃで美しい人指し指を当てた。
耳は聴こえるのかという意味だと、娘も判ったのか、
「う、う、う……」
と首を振った。聴えぬらしい。
「ちょっと……」
男は食堂の女を呼んで、
「――この娘に、にぎり寿司食わせてやってくれ、それからビールもう一本……」
にぎり寿司が来ると、娘はむさぼるように口へ放り込んで、またたく間に食べてしまい、皿についている飯粒を、舌の先でペロペロと拾った。
男はビールを飲みながら、じっとその容子を見ていたが、やがて怪しげな手つきで、
「――おれに――ついて来たら――もっと飯を――食わせてやる――ついて来るか……」
という意味の手真似を、やり出した。
即席の手真似だが、娘には通じたのか。だまってうなずいた。
飯を食わせてくれるなら、どこまでもついて行く――という風であった。
男はにやりと笑うと、勘定を払った。そしてコップに残っているビールを、立ったまま、ぐいと飲みほした。