Classici giapponesi con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Leggi 夜明け前 (よあけまえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.172 caratteri · 206 schermate
「まあ、あれでお粂も、お父さん思いだ。あなたの言うことならよく聞きますね。あなたからもよく言って聞かせてください。」
「そうお民のように、心配したものでもなかろうとおれは思うよ。いざとなってごらん、お粂だって決心がつこうじゃないか。」
半蔵は下駄を脱ぎ捨てて、その時、店座敷の畳の上を歩き回った。庭の牡丹へ来る風の音までがなんとなく秋めいて、娘が家のものと一緒に暮らす日の残りすくなになったことを思わせる。とかく物言いのたどたどしいあのお粂とても、彼女をこの世に育ててくれた周囲の人々に対する感謝を忘れるような娘でないことは、半蔵にもそれが感じられていた。それらの人々に対する彼女の愛情は平素のことがよくそれを語っていた。十八歳のその日まで、ただただ慈しみをもって繞ってくれる周囲の人々の心を落胆させてこころよしとするような、そんな娘でないことは半蔵もよく知って、その点にかけては彼も娘に心を許していたのである。
今さら、朝鮮あたりの娘のことをここに引き合いに出すのもすこし突然ではあるが、両班という階級の娘の嫁に行く夜を見たという人の話にはこんなことがある。赤、青、黄の原色美しい綾衣に、人形のように飾り立てられた彼女は、そこに生けるものとは思われなかったとか。