Classici giapponesi con furigana
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むゆうびょうしゃのし
夢遊病者の死
江戸川 乱歩
Leggi 夢遊病者の死 (むゆうびょうしゃのし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.121 caratteri · 22 schermate
その殆ど中央に主家の使いふるしの毀れかかった籐椅子が置いてあるのだ。
無論他殺の見込みで取調べが進められた。併し、死体の周囲からは加害者の遺留品らしいものは何も発見されなかった。空地が隅から隅まで捜索せられたけれど、西洋館に沿って植えられた五六本の杉の木を除いては、植木一本、植木鉢一つないガランとした砂地で、石ころ、棒切れ、其他兇器に使われ得る様な品物は勿論、疑うべき何物をも見出すことは出来なかった。
たった一つ、籐椅子から一間ばかりの所にある杉の木の根許の草の間に、一束のダリヤの花が落ちていた外には、だが、誰もそんな草花などには気がつかなかった。或は、仮令気がついていても特別の注意を払わなかった。彼等はもっと外のもの、例えば一筋の手拭とか、一個の財布とか、所謂遺留品らしいものを探していたのである。
結局唯一の手掛りは足跡だった。幸なことには降りつづいた雨の為に、地面が滑かになっていて、前夜雨が上ってからの足跡だけがハッキリと残っているのだ。とは云え今朝からもう沢山の人が歩いているので、それを一々検べ上げるのは随分骨の折れる仕事ではあったが、これは誰の足跡、あれは誰の足跡と丹念にあてはめて行くと、案の定、あとに一つ丈け主のない足跡が残ったのである。