Classici giapponesi con furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Leggi 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) di 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.647 caratteri · 215 schermate
十数発の時限爆弾が近所で爆発して家は地震のようにゆれた日もある。待避の刹那まで、僕は鉄兜のまま机の前に坐ってもみた。今度こそ家が焼かれるか、死ぬか、そんな思いで暮しつづけた。
原稿はこのあわただしさの裡に出来あがって行った。出版する筈の書店はむろん焼失して、出版の予想などは出来ない。僕は印刷術というものから次第に遠ざかって行く自分を感じ、それが著作家として健全な姿であることを改めて思い知った。原稿は厳重に包装して、寝るときは枕元へ置く。空襲のサイレンとともに背負って壕へ入る。いざというときはこれだけを持って火焔の中を逃れようと覚悟していた。むろん最後の場合には、原稿は僕の肉体とともに消え去るであろう。太子伝がどういうものであるか、批評は人々に委ねよう。ただこれを書いていた日の生き甲斐に対して、僕は感謝したくなる。太子の御精神が、空襲に堪えさして下さったのである。
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太子の生涯を書き終えた後の僕の感想を端的に云うならば、恐ろしいの一語につきる。恐怖の念は今もなおつづいている。僕は太子の生涯に何の解決も悟りも求めなかった。ただ悲劇に堪えられた姿だけを出来るかぎり如実に描きたいと念じたのである。