Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate

Aozora Bunko

「お前の名は何というの?」

「清澄の茂太郎」

「茂ちゃんていうの」

「ああ、おばさん、放して頂戴よ、息苦しくて仕方がないからさ」

「おとなしくして、鬼子母神様の子におなりなさい」

「放して下さい、ほんとに熱苦しいんだもの……よう、おばさん」

「おとなしくしておいで――」

「いやだ、いやだ……おばさん、何をするの、放さないの?」

「わたし一人で淋しいから、茂ちゃん、泊っておいでなさいな」

「息が詰まるじゃないか、おばさん、どうしても放さなけりゃ、あたい、口笛を吹いて狼を呼ぶからいいや」

「何ですって、狼を呼ぶ……?」

「ああ、あたいがここで口笛を吹くと、狼が出てくるんだから……」

「まあ怖い……お前は狼より、わたしの方が嫌いなの?」

「だって、息がつまりそうだもの」

「あたしの顔は、狼より怖い……」

「そんなことはないけれど……」

「わたしの息は、蛇の息より、熱苦しいの?」

「おばさん、堪忍して頂戴ね、あたいは怖いものはないけれど……」

「だから、おとなしく、おばさんのいうことをお聞きなさい、あたしは千人の子供を食べる鬼子母神様の生れ変りなんですもの」

「いけませんよ、おばさん。あ、それじゃ、あたい口笛を吹きますよ」