Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate

Aozora Bunko

「では一茶の句集でもごらんになったことがございますか」

「あります、あります、『おらが春』を読みましたよ」

「おらが春――たのもしい、あなたが、そういう方とは存じませんでした」

俳諧師は着物の襟をさしなおして恐悦がりました。仲間みたような風采をしていた良斎の口から、一茶を褒められて、自分の親類を褒められたような気になったのでしょう。有頂天になった俳諧師は、

「おらが春を本当に読んで下されば、一茶の生活と、人間と、発句の精神とはまずわかります、わかるにはわかりますがね、人によってそのわかり方の違うのはぜひもありません。あなたは、一茶という人間を、どういうふうにごらんになっていますか、それを承りたい」

「そうですね」

池田良斎がこの質問に逢って、少しく首を捻りますと、俳諧師はそれにかぶせて、

「どうですな、一茶の偉いというのは、太閤秀吉の偉いのとは違いましょう、日蓮上人の偉さとも違いましょう、また近代のこの信濃の国の佐久間象山の偉さとも違いましょう、一茶の偉さは、英雄豪傑としての偉さではありませんよ、人間としての偉さですよ、信濃の国の名物中の名物は俳諧寺一茶ですよ……いや、信濃の国だけではありません、この点において一茶と並び立つ人は天下にありません、一茶以前に一茶無く、一茶以後に一茶なしです……」