Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.272 caratteri · 313 schermate
が、今はその愛人も無く、それを虐殺した人もありません。
われは惨虐と、貪汚と、漂浪と、爛れたる恋と、飽くことなき血を好む――と、お銀様は強いてこれをいおうとしたが、おぞくも涙にくれて、それは立消えとなりました。
欲しいものはなんにもない。ただ純な心一つが欲しい。その心一つを抱いて故郷の土が踏めるなら――と、お銀様の魂がしきりに叫びました。
傷ついた魂から血が流れます。お銀様はその血を押えながら街道を歩みはじめました。道が竜王の松原へかかって、有野へはこれから曲ろうとするところ。
ふと、赤児の泣き声がする。遠いところで乳呑児が、糸のように泣いては泣きやむ。
その声を聞くと、お銀様は地上を覗いて見ました。
血は流れていないが、物がある。
お銀様はギョッとしてたちどまりました。
だが、それはその昔、蹴裂明神の前で見た捨児ではない。長塚新田の馬喰が落したハマでもない。この街道には相応わしからぬもの――
柱が二つに折れ、半月から腹まで無惨に踏み裂かれた一面の琵琶が、街道の地上に露を帯びて打捨てられてある。
お銀様は一見して、これは追剥に逢ったのだと思いました。