Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.467 caratteri · 168 schermate
見ればいつのまにか、もうキリリとした道中姿になっていて、四通八達、どちらへでも飛べるように、ちゃんと身拵えが出来て来ている。
がんりきが、カンテラを提げて、宜しく河原の中に立って、暫く四辺を見廻していると、四辺はひっそりしたものだが、東の方は炎々と紅く燃えている。
昼は黒く見える爆烟が、夜はああして紅く見えるのだ。
二十八
まもなくこのやくざ野郎のキリリとした旅姿が、宮川筋の芸妓家の福松の御神燈を横目に睨んで、格子戸をホトホトと叩くという洒落た形になっている。
「今日もお茶よ」
委細心得て、長火鉢の前にがんりきを引据えた福松の投げつけるような御挨拶、この芸妓はこの間の晩、やっぱり柳の下で、だらしのない、しつっこい芸当をしきりに演じていた兵馬なじみの芸妓であり、お代官の思われ者であり、当時、高山では売れっ妓の指折りになっているのだが、昨今の天災続きで、ここ随一の流行妓も、このごろはお茶を引かざるを得なくなっている晩である。
「いやんなっちゃあな」
米友の口調めいたことをがんりきが言う。
「全くいやになっちゃいますね、ただ不景気だけならいいが、人気がすっかり腐って、世の中がこわれちゃいそうなんだから」