Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.374 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

「伺いとうございますね」

「言わん方がいいだろう、言えばいや増す思いというものだからな」

「では、わたくしが代って申し上げてみましょうか、お君様のことを、お思い出しになったのでございましょう……」

「うむ……いや、違う、あれはもう忌明だ、思い出せば不憫と思いやられぬことはないが、いつまでも愛惜を追うのは、それ、冥路のさわりというものでな、今では、さっぱりとあきらめている、いまさら思い出して、心を傷ましむるということもないのだ」

「では、奥方様のことを……」

「いや、あれは愛情がない、権式があるばかりだ、正直に言うと、結婚以前から冷たいもので、今もその通り」

「では、どなたのことを思い出しておいでになったのでございますか」

「実はな、お松どの、君のことを考えて、つい思いに沈んでしまったのだ」

「まあ、勿体ない」

と言って、お松がまたも真紅になって、うろたえる心を抑えることができないほどです。

二十五

ただ単に自分のことを考えていてくれたということは、感謝すべきことであっても、狼狽すべき事柄ではありません。それなのに、お松の狼狽ぶりのあわただしさ。自分ながら、今日に限って、何でこんなにあわてなければならないか、その理由がわかりません。