Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate

Aozora Bunko

もし、あの子に歌の学問をさせたら、どんなに立派な歌よみになるか……それとも、学問をさせたら、さっぱり歌がうたえなくなるか、そのことは、わたしにはわかりません。

まあ、わたしの歌を書きつけてみましょう。

焼ヶ岳よ

お前はなぜ火をふいている

このあたりには

高い山という山が

かずしれずあるその中で

昔はみんな

お前と同じように

争うて天に向って

火を吐いていたというが

今はみんなおとなしく

鳴りをしずめ

気焔を納め

雪に圧えられても

風にけずられても

怖れもせず

泣きもせず

千古の沈黙に

落ちてしまって

生きているのか

死んでしまったのか

それさえわからないのに

焼ヶ岳よ

お前だけが生きている

もう少し高いところで

見てごらんなさい

槍が見える

穂高が見える

白馬の背が見える

笠ヶ岳も錫杖も

立山も乗鞍も

木曾の御岳山も

加賀の白山も

みんなお前よりは

兄さん分であろうのに

どれもこれも

雪に圧されて

頭を上げ得ないのに

お前だけはその頭上に

降る雪を寄せつけないで

天に向って焔をあげる

胸に思い余る火があって

外に燃ゆる恨みが

いつまでもお前を若くし

さながら、乙女の

みどりの黒髪に似た

その煙

その煙が美しい……

弁信さん――

わたしの歌は、これでおしまいになったのではありません。