Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate

Aozora Bunko

果してこの闖入者は、その礼節を、戸棚の隅から探し出して来た。

「これこれ」

どうして、今までここんところに気がつかなかったろう、という表情で、戸棚の隅から抱え出したのは、キュラソーの一瓶でありました。闖入者は、このキュラソーの一瓶を戸棚の中から、かつぎ出すと、まるっきり相好をくずしてしまって、至祝珍重の体であります。

実は、もっと以前に、この礼節をわきまえておらなければならないはずだが、飢えが礼節を忘れしめるほどに深刻であったのを、ここに至って、満腹がまた礼節を思い出させたと見える。

満腹の闖入者は、今しこのキュラソーの一瓶を傾けながら、上機嫌になって、ダンス気取りの足ドリで、早くもこの料理場をすべり出してしまいました。

飢えは室内から街頭に出してはならないが、満腹はどこへ出してもさまで害をなさない。ただキュラソーが、人をキュリオス(好奇)に導くのが、あぶないといえばあぶない。

闖入者は満腹に加うるに陶酔を以てして、この料理場からすべり出したが、そこは街道でもなければ、ヴェルサイユへ行く道でもない、次の室から次の室へと、導かるるまでであります。

その次の室というのが、このごろ一室を建て増した食堂兼客室であり、それを廊下によって二つに分れて行くと、その一方が駒井甚三郎の研究室と寝室、他の一方には――若干の客