Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
うちの殿様は、お供もなければ、槍もないし、乗物もない」
「ホホホホ」
それを聞いて、岡本兵部の娘は笑い、
「それはお前、昔のことよ。うちの殿様も、以前はその通りなんでしょう、お大名でこそなかったけれども、立派なお殿様よ」
「今は?」
「今は浪人していらっしゃるから……」
「どうして浪人したの?」
「どうしてだか、知らないわ」
そこで糸巻の糸がこんがらかったのを、兵部の娘が軽くさばく。
「お嬢さん、お前、今日も殿様のお部屋へ行きましたね」
「ええ」
「何をしていたの?」
「寝んでいたのよ」
「一人で……?」
「無論のことさ」
「叱られるだろう?」
「だって、あそこは静かでいいもの……」
「騒がしいとこはいや?」
「ええ」
「では、どうして胡琴をひいたり、あたしに歌をうたわせたりするの?」
「その時は、その時でね」
「ふだんは、静かなところがいいの?」
「ええ……だから殿様のいない時にばかり、あのお部屋へ行って寝るの」
「そう」
茂太郎はまだ心もとない顔をしながら、その問答の一くさりはともかく、それで一段落になると、また、
可愛い由松だれと寝た
だれと寝た
お父さんと寝たなら
よしよし
一つことを歌い出すと、、二度、三度、口をついて出るのがこの少年の癖であります。