Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate

Aozora Bunko

「それから……」

竜之助がそのあとを所望すると、

あんまりむごい治兵衛さま

なんぼお前がどのような

せつない義理があるとても

二人の子供は

お前なんともないかいな……

ここへ来て、お雪ちゃんがどういうものか、しくしくと泣いて、あとがつづけられなくなりました。竜之助は憮然として、もうそのあとを所望はしません。

お雪ちゃんは、どうしたものか、とうとう縫取りを投げ出して、炬燵の上にうつぶしになって、聞えるほどの声を出して泣いてしまいました。

「どうしたの……」

「二人の子供は、お前なんともないかいな……というところで泣けました、泣けて泣けて、仕方がありません」

お雪ちゃんは、わっと泣いてしまいました。この娘が近頃、感傷的になっているというのは、多分こんなところをいうのでしょう。

三界流転のうち、離れ難きぞ恩愛の絆なる――といったような、子を持った親でなければわからない感情のために、お雪ちゃんが泣きました。

子を持った親でなければわからない感情のために、子を持たぬお雪ちゃんが泣くくらいだから、少なくとも子を持って、人の親として経験を経てまでいる竜之助はいかに。

単に小娘の口ずさむ浄瑠璃のさわりの一ふしぐらいに、やすやすと涙を流すほどの男ならば、文句はあるまいに、それが、どうしたものか、横をむいてしまいました。