Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate

Aozora Bunko

「それじゃ駄目ですよ、松本どころではない、この先一里も覚束ない――困ったな」

兵馬はまたも、立ちどまってつぶやきました。

「そんなに小言をおっしゃらなくってもいいじゃありませんか、置去りになすったり、お小言をおっしゃったり、ほんとうにたよりのない道行……」

と女が息を切りました。

「仕方がない……」

兵馬が、やはり途方に暮れた返答ぶりです。

仕方がないといえば、全く仕方がない。ほかの道中と違って、馬や、駕籠をたのむ便宜もなし、そうかといって、自分が引背負って行くわけにもゆかず、万一の場合には、たたき起すべき旅籠屋すらも当分みつかるべき道ではない。そのくらいなら、いかに月明に乗じたとは言いながら、夜分、こうして出て来るがものはないじゃないか。だが、そのほかの理由で、二人が、馬も駕籠も借らずに、夜を選ばねばならなかった筋道は、相当にあるだろうと想われます。

ただ、兵馬として案外なのは、女の足が弱過ぎたことです。想像以上に、この女の足が弱過ぎました。

草鞋をつけたのは、生来これが初めて――それはよいとしても、一町行っては息を切り、二町歩いては休む、これで前途の旅をどうするのだ。