Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
「え、間違いありません、あれが上総、房州です、ほら、ごらんなさい、あの高いところが、あれが鋸山でござんしょう、そうして、あれが勝浦、洲崎……間違いございません」
政どんなるものが、一桁ちがいの親方の裏書をいいことにして、自説の誤りなきことを指で保証すると、お角も納得して、
「そうそう、あの辺が洲崎に違いない、洲崎はいやなところだねえ」
と、若いのが指さした岬の突端あたりに、遠く眼を注いでいると、
「親方が命拾いをなさったというのは、あれでござんすか、いやに波の穏かな、そのくせ、舟や人をさらって、いいようにおもちゃにするという、ふざけた海はあの辺でござんすか」
「ほんとに、いやな海だよ、だけれどもねえ……いやな海には違いないけれどもねえ」
いやな海には違いないけれども、どうしたものか、さいぜんから、そのいやな海の方面に注いだ眼をいっこうはなさないで、
「いやな海は、いやな海だけれども、わたしにとっては、ずいぶん思い出がないでもないのさ」
「そうでござんしょうとも」
「ねえ、政どん」
「はい」
「お前、どう思ってるの」
「何をでございます」
「あの、ほら、東海道の三島の宿から下座へ入った、お君っていう子ね」