Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
「つい、あるきたくなったもんだから」
「帰る気はないの?」
「だって、着物が乾かないんですもの」
「どうして、着物を濡らしたの」
「海へ、落ちたから」
「海へ落ちた? そうして、海竜が出たっていうのを知っている?」
「知らない」
「海竜が出たって、今、逃げて行った人がありますよ」
「あたしは知らないのよ」
「みんな心配するといけないからわたしと一緒にお帰り」
「お嬢さん、なんだか、あたいは、どこへも帰りたくなくなった」
「どうして」
「でも、なんだか、淋しくってたまらないもの」
「淋しければ、一層、お前、大勢の中へ帰ればいいじゃないか」
「それでも……弁信さんがいないもの」
「茂ちゃん、お前はよく弁信さん、弁信さん、て言うけれど、そんなに弁信さんていう人がいい人なの」
「いい人というわけじゃないけれど、さぞ、あたしを尋ねていることだろうと思うと、あたしも、あの人に逢いたくってたまらないのよ」
「駒井の殿様もいらっしゃるし、白雲先生もおいでになるし、金椎さんだって悪い子じゃなし、それに、わたしというものもいるのに、それだのになお、お前は、弁信さんという人が、そんなに好きで、みんなをあとにしても、それでも弁信さんに逢いたいの、それほど、弁信さんという人はいい人なの?」