Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
「どうも済まなかった、かんべんしておくんなさい。実は今そこで、おそろしく強い狂犬に出逢ったものだから、逃げ場を失って、こんな始末さ。なにも、お前さんを苦しめようのなんのというのが目的じゃねえんですから、どうか、勘弁しておくんなさいまし」
「うん――」
と与八は、おとなしい眼を不審の色に曇らせて、改めて七兵衛の姿を見やり、見おろし、
「お前さん、狂犬に吠えられたとお言いなすったね」
「ああ、どこの犬だか知らねえが、この上の方に、おっそろしい強い狂犬がいるよ」
「お前さん、ありゃ狂犬じゃありませんよ」
「え、どうして」
「ありゃ、ムクですよ」
「ムク……」
「ムクが吠えたんですよ」
「ははあ、なんにしても、すっかりオドかされてしまいましたよ」
「お前さん」
与八は、しげしげと七兵衛の姿を見ているから、七兵衛は少しバツが悪く、
「何だい」
「お前さん、何か悪いことをしたろう」
「えっ」
「何かお前さん、悪いことをして来たね」
「飛んでもねえ、私は何も悪いことなんぞをする人間じゃあねえ、この通り、六郷下りの氷川の筏師だよ」
「いけねえ、お前さん、何か悪いことをして来たから、それでムクに吠えられたのだ」