Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate

Aozora Bunko

「迎えに行って来て上げましょうか」

かえって、極めて質朴にして、好意に満ちた親切を表わしてくれました。

「それには及びませんよ、ありゃ、正直な人間ですからね」

と道庵先生が言いました。

その時に袈裟衣の老僧が、やおら立ち上って――その袈裟衣を見ると、これはたしかに日蓮宗に属する寺の坊さんだ。

祭主の黙祷についで恭しく声明読経に及ぶかと見ると、そうではなく、恥かしそうにバラ緒の下駄を突っかけて、竹藪の裏の方へ消えてしまいました。

さては、この竹藪の裏に仕掛があるのだな。

最初から、この竹藪が疑問です。竹藪の前に何物もなく、竹藪の中には何物がおわしますとも見えないのに、祭壇ばかりが恭しく飾られて、祭壇そのものにも、なんらの御本尊の象徴は見えていない。いくら道庵先生が、いたずら者だからといって、ことに自分が筍の部類に属するからといって、縁もゆかりもない土地へ来て、竹藪祭りをするということも、悪ふざけが過ぎます。そうかといってここで見たところでは、竹藪の中には、種も、仕掛も、本尊様らしいものもないようです。

さて、この辺で道庵先生は、例によって来会の民衆に対し、一場の演説を試むるだろうと期待していると、今日は案外におとなしく、また恭しく坐り直して、祭壇の直前に向い、黙祷をはじめてしまいました。