Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate
そこへ、
「ご免なさいませ」
と入って来たのは、北原ではなく、髪を洗い髪にして、後ろに結んだ妙齢の一人の女の子であります。
「はい」
「おや、もうお起きあそばしましたか、御病気だそうでございますが、およろしうございますか」
「ええ、どうやら、よくなりましょう」
どうやら、よくなりましょう、というのは、かなり苦しい言いわけでしたが、兵馬は事実、苦しい言いわけをするほど苦しいらしい。
「お休みなすっておいであそばせ、北原さんが御看護においでなさるとおっしゃるのを、わたしが代って上りました」
「それはそれは、どうも少し疲れたものですからな」
「ここに、熱いお湯と妙振出しがございますから、熱いのを一杯召上って、お休みなさいませ」
渡りに舟である。病気そのものが渇望していたところのものを、棚から牡丹餅的に与えられたことの喜びが、兵馬の苦痛を和らげずにはおきません。
「では、せっかくの御好意を遠慮なく」
片手をのべて、熱い湯の湯呑を受取ると、グッと一口飲みました。この一口の湯が、兵馬の五臓六腑までしみ渡って、渇する者に水とか湯とかいう本文通り、一口の湯が全身心に反応しました。