Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate
程経て兵馬が久助に向い、
「あなたは、どちらからおいでですか」
とたずねました。それはこの男こそ、例の五人の神楽師の一行のほかだと見たからのことでしょう。そこで久助は、
「わしどもは、甲州の郡内の方から参りました」
「甲州の郡内……」
「はい」
「郡内はどこですか」
「ええ、谷村でございます」
「そうですか」
ここで久助が、郡内は上野原でございます、上野原の月見寺でございます――といわないで、谷村と言ったのが幸いでした。最初から多少の用心をして、わざと上野原や、月見寺を、表に出さないことに申し合わせていたのですが、久助の本来の生れ所が、その谷村なんですから、不自然はありません。
「旦那様は、どちらからおいでになりました」
今度は久助から、極めて自然に、またていねいに、兵馬の来るところを儀礼的にたずねてみたものです。
「拙者は、もとは江戸ですが、諸国を歩いて、昨日松本から、これへやって来ました」
「左様でございますか」
久助は、こくめいに頭を下げると、村田が引取って、
「時に、あなた様は武者修行ですか」
と兵馬に、これもはじめて反問を試むると、兵馬も心得て、
「まあ、武者修行と申せば、武者修行のようなものでございましょう、未熟ながら、剣術稽古を兼ねての諸国の旅です」