Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
ことに、うしろにふわりと羽織っている丹前だってそうだ。さきほどお雪ちゃんが、蒲団をのべようと言って、戸棚をあけた時に、ちらりと見えたあれなんだ。あれを出して引っかけて、そうして悪く落着きすまして面を撫でているという現象が、この男を理解しきっている米友にも不思議でならなかったのです。あんまりそれが不思議だものだから、米友は他の何事をも想いわたる隙がなく、竜之助の面ばかり見つめていると、
「米友さん、あなた、さっき、外で何をしていたの」
今ごろになって、それはお雪ちゃんの声ですから、これにも米友が面くらわないわけにはゆきません。
どこで、どんな面をして、今ごろこんなことを言えたものかと、振返って見直すと、納戸のしきりからたしかに半身を現わしたお雪ちゃん――
にっこり笑ってこちらを見ている面が、薄暗い光の中に、いやに艶っぽい。
「お雪ちゃん、お前こそ、どこで何をしていたんだ」
「わたし……」
「お前がいたのか、いねえのか、おいらは今まで気がつかなかった」
「先生がおいでになったものですから……」
「それからどうしたんだ」
「いろいろと……」
「いろいろと、どうしたんだ」