Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
「どうしような、欲しいという人はねえか知ら、誰かいい買い手を見つけて売ってしまうことだ」
「そうだ」
二人がこう言って吐息をつくのを、お銀様が受取って、
「お前さんたちが、相当の値段でゆずってくれるなら、わたしが買って上げてもようございます」
「え、奥様が買って下さる?」
「え、売っていいなら、わたしに譲って下さい」
「どうしような」
「でもなあ――せっかく命がけでつかまえて来たもんだからなあ」
彼等は売りたくもあるし、そうかと言って、生命がけでつかまえて来たものを、あたり近所へも披露しないで、ここですげなく譲り渡してしまうことにも、多大の未練があるらしい。
その煮え切らない返答ぶりが、お銀様の興を損じたものか、お銀様は駄目を押すこともなにもしないで、二人を置去りにして、ゆらりゆらりと前へ進んでしまいました。
取残された二人、売ろうか売るまいか、思案に暮れて、まだ茫然と猛禽の子を抱いたまま、お銀様の行く後にぼんやりと立っている。お銀様は、ゆらりゆらりと、それでも歩くものと歩かないものとの距離ですから、みるみる相当の隔りが出来たが、このひやかしのお客様は、柳原河岸で洋服の値切りをする客のように、番頭の呼戻しを待っているという駈引きもないと見えて、さっぱりと歩み去って行くのに、未練たっぷりの二人はまだ立去りきれないで、