Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
そのくせ、二人のいる四辺は、真昼であるにかかわらず、急に白けきってしまって、二人の者が、こだまにでもおどる亡者のように見える。この二人が、亡者のようにフラフラと行方定めず歩いているのは今に始まったことではない――五体もあり、むろん足もあり、人間たることは紛れもないが、二人がのこのこと歩くところは、どうあっても白昼の亡者としか見えない。
「おい、隠れるなよ、隠れたってわかるぞ、我々共とても、鬼でもなければ虎狼でもない、みだりに取って食おうとは言やせぬぞ、これへ出て、もう一度、今のいい咽喉を聞かしてくれんかいな」
仏頂寺弥助が、四方を見廻しながら、咽喉が乾いて舌なめずりでもするかの如く言いかけたのが、四方の静かな峠路の林まで、沁み入るように響き渡りました。
十二
木蔭から、息を殺して、こちらをうかがっていた福松は、
「あら、大変! 仏頂寺の奴に胴巻を拾われちゃいました」
「抜かったな」
兵馬も答えると、
「あらあら、仏頂寺がこっちへやって来るわよ」
「あわてるな、あわてるな」
と言って、兵馬も同じく木の葉の間から、眼をはなすことではなかったが、色縮緬の胴巻を拾い取った仏頂寺弥助が、叢を分けて、ずっしずっしとこちらに向って歩み来りいることは事実なのであります。