Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Leggi 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.601 caratteri · 387 schermate
静粛なもので、三尺ほどの入口から順々に上人の前へ出て名号をおしいただいて、一廻りしてもとの席へ戻って来るのに、みんな一応お先へお先へと言って辞儀をしました。
「さあさあ、お持ちなさい、お持ちなさい」
上人の言葉つきからお授けぶりが、いかにも気軽であります。
名号を受ける人は、老若貧富をおしなべて少ない数ではありませんでした。一生に一度こんな貴い上人のお手ずからの名号をいただく冥加の嬉しさ、これが罪障消滅、後生安楽と随喜の涙にくれているものばかりであります。
「お前は少しお待ち」
いま上人の前に出た五十ぐらいの頑丈な男、その男には上人が容易く名号を渡すことをしませんでした。
「お前は、もと船乗をしていたろうな」
「はい、左様でございます」
頑丈な男は額へ手を当ててお辞儀をしました。集まった人は何事かと思いました。
「その船乗をしていた時に、難船に逢って死んだ者がある、その金をお前は取って遣ったろうな」
「へへへ、へえ」
五十男はしどろもどろになりました。
「そうしてお前はまだついぞ、その人の菩提をとむろうたことがない、その罪があるによって、お前にはこの名号を授けたところで往生は覚束ない」