Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Leggi 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.601 caratteri · 387 schermate
帰りがけに、梯子わきの戸締りがほんとうでないから、ちょっと手をかけてみたが容易くは動かないので、一旦あけ直して見ると、眼の下は、夜に眠る温泉村。
夜更けての温泉村の風景は、土地に住み慣れた人をさえうっとりさせる。今は草木も眠る丑三時、竜神八所に立籠めた水蒸気はうすものの精が迷うているようであります。
なんの気もなく空を見れば、鉾尖ヶ岳と白馬ヶ岳との間に、やや赤味を帯びた雲が一流れ、切れてはつづき、つづいては切れて、ほかの大空はいっぱいに金砂子を蒔いた星の夜でありました。
東から西に流れる雲、或いは西から東へ流れる雲。それが細長くつづきさえすれば、赤であっても、白であっても、ほかのどんな色でも、色合いにはかまわず、土地の人は一体にそれを「清姫の帯」と呼びます。
いま、お豊が見たのも、その「清姫の帯」であって、牟婁郡から来て有田郡の方へ流れているのであります。
お豊は、この土地へ来て、「清姫の帯」を見るのはこれがはじめてですから、ただ、まあ珍らしく細長い雲と思ったばかりですけれども、もしこの土地に永く住み慣れた人ならば、面の色を変えて、戸を立て切り、明朝とも言わずに竜神の社へ駈けつけて、祈祷と護摩とを頼むに相違ないのであります。