Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Leggi 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.112 caratteri · 362 schermate
十五
況んや狂人の振舞ではありません。
相手の右へ向って摺り抜けるということが、作法の上から間違っていて、それがために彼の怒りを買ったものと見れば、過ちはやはり自分にある。そこで兵馬は多少悔ゆるの心を起すと共に、心外なのはこの指の痛みです。
かりそめに振り上げた尺八のために、ともかくもこれだけの傷を負わせられたことは、自分の不覚である。と同時に、どう考えても相手の腕の冴えを認めないわけにはゆかないことです。そこで兵馬は、かの天蓋の男が只者でないということを考えました。ただそれだけを考えたけれど、混乱した頭脳のために、空想はあらぬ方へ持って行かれてしまいます。
兵馬は最初から、吉原へ飛ぶつもりでいました。今となっては、それがあまりに恥かしくてたまらぬことです。そうかといって、本所の相生町の老女の家へ帰って、誰に面を合せよう。
十五
神尾主膳は眉間に怪我したために、病床に呻って寝ています。
なぜか、主膳は医者を呼ぶことを嫌います。これほどの怪我をして呻りながら、ついに一言医者ということを言いません。医者を迎えようという者があれば、厳しくそれを叱りつけて、寄って集ってする手療治に任せているのは、一方から言えばこの男の剛情我慢で、一方から言えば、己れの屋敷へ他人の出入りを許さぬ内部の弱味かも知れません。