Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Leggi 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.112 caratteri · 362 schermate

Aozora Bunko

いな、少なくとも月の微光をながめ得るほどには、眼が開いていなければならないはずです。

すすき尾花の中に西を向いている、たったひとりの人影に、ちょうど、天心に到る十六日の月が隈なく照しています。

もし、煙霧がなければ白根山の峰つづきが見ゆるあたりに、竜之助はいつまでか立ち尽しているが、風はそよとも吹かず、ただ高原の夜気が水のように流れているだけです。

鳥も通わぬ白根の山に

月の光りがさすわいな

多分、その白根の山ふところに心残りがあるのでしょう。

白根の山ふところの奈良田の温泉で、似而非の役人を一槍の下に縫いつけたのは、さのみ恨みの残るべきことではありません。

徳間峠で倒れた時に介抱を受けた山の娘の頭のお徳のことが、思い出になるとすれば、思い出にはなります。

お徳は親切な女でした。温和なうちに、かいがいしいところがあって、世話女房としての無類の情味があったことを、今こうして白根の方をながめるにつけて、思い出さないという限りはありません。眼に見えない面影ながら、それを思い浮べると、肉附のよい、血色の麗わしい、細い眼に無限の優しみを持った、年増盛りであったことを思いやらないわけにはゆきません。