Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Leggi 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 242.044 caratteri · 477 schermate
「もうよろしい」
「どうも失礼を致しました……いいえ、お代はあとで帳場からいただきます」
といって、女が出て行ってしまったあとで、竜之助は、自分の身に残るうつり香といったようなものに、苦笑いをしました。
これは売女の類だ。物を売ることにかこつけて、色を売らんとする女。よく温泉場などにあった種類の女――おれをそそのかしに来たのがおぞましい。
とはいえ、今の竜之助にあっては、女というものの総ては肉である。美醜をみわけるの明を失っているから、美のうちに貴ぶべきものの存するのを発見することができない。醜を感知するの能を失ってから、醜の厭うべきを知って避けるの明がない。
いや、それは単に女ばかりではあるまい。この男は、すべてにおいて、むずかしくいえば、宗教がなく、哲学がなく、またむしずのはしる芸術というものがない。ただあるものは剣だけです。勝つことか、負けることかのほかに生存の理由がないので、恋というものも、所詮は負けた方が倒れるものである。心中の場合においては、大抵、男が女に負けて引きずられて行くのである。曰く薩長、曰く幕府、曰く義理、曰く人情、みな争いである。