Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Leggi 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 242.044 caratteri · 477 schermate
いったいどうしたのだ。あまりのことに、こっそり戸をあけて、もう一度様子を見ようとまで気がゆるんだ時に、ようやく野風のさわぐ音。
この間、いのじヶ原には、灰色の雲がいっぱいに立てこめて来ました。
諏訪の盆地は隠れて見えず、鉢伏と立科が後ろから覗き、伊奈と筑摩の山巒が左右に走る。遠くは飛騨境の、槍、穂高、乗鞍等を雲際に望むところ。近くは犀川と、天竜川とが、分水界をなすところ。
すべてを灰色に塗りつぶした、いのじヶ原は山路にあらずして、いとど荒原の趣を加えてきました。見渡すところ、この荒原の中、離々たる草を分けて歩み行くたった一人の人、這うような遅い足どりで――
天地が塗りつぶされた灰色の中に、その人も灰色。
その人は、手に白刃をさげたままで、左の手で半身にあびた血汐を拭いながら、よろよろと荒原の中を歩いている。
野袴の裾には、尾花すすきが枯れている。
立科から桔梗ヶ原へ向けては、灰色の空をしきりに鳥が飛ぶのに、地上の荒野原は、この人ひとりをあるかせるための蒼涼たる画面。
しかし、どう見ても、痛々しい足どりだ。病めるにあらざれば、傷ついている。
誰と戦って、誰のために傷つけられた。