Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
たいしゅうぶんげいさほう
大衆文芸作法
直木 三十五
Leggi 大衆文芸作法 (たいしゅうぶんげいさほう) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 63.833 caratteri · 126 schermate
ふと見ると、屏風の蔭に、友禅の小蒲団をかけて、枕元に、朱羅宇のきせるを寄せ、黒八を掛けた丹前にくるまって居た男がある。
日本左衛門です。――むっくりと起て「一風呂浴びて来るから、待っていてくれ」と、手拭をとる。
「ええ、ごゆっくり」
お蝶はニッコとしながら、袴腰の若衆すがたで、何もかも打解けた世話女房のように、あたりの物を片づけます。
この額風呂の庭には植込もかなり多いので、離れの一棟も母屋からは見透されません。手拭を持った日本左衛門は軽い庭下駄の音を飛び石に遠退かせて、向うに白湯気をあげている風呂場の中へかくれました。
それを、濡れ縁の端から見送っていたお蝶は、彼の姿が隠れると、キッと眠くばりを変えて、部屋の四方を見廻しました。
(中略)
(そうだ! 今のうちに)
彼女のひとみに、そう言うような意志のうごきが険しく見えたかと思うと、お蝶の手はすばやくそれを元の通り包み込んで自分の袖の下へ抱えようとしかけます。
すると、不意に濡れ縁の障子が開きました。
「おやっ?……」
「あっ……」とお蝶はあわてて地袋の中へそれを戻して、何気ない顔を作ってひとみを上げますと、日本左衛門ではありません。