Classici giapponesi con furigana
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ぐじんのどく
大雷雨夜の殺人 他8編
小酒井 不木
Leggi 大雷雨夜の殺人 他8編 (ぐじんのどく) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.456 caratteri · 55 schermate
わたしも学生時代には、あなたがたのようによく温泉宿へ出かけては勉強したもので、やはり卒業試験前の夏休みは、ある温泉で暮らしたのでした。わたしもずいぶん茶目っけの多いすこぶる楽天的な人間でしたが、開業すると間もなく両親に死なれたのと、ある入院患者について奇怪な経験をしてから医業なるものに厭けが差し、さいわい自分一人の生活には困らぬだけの資産がありましたので、開業後半年にして病院を閉鎖し、家内も迎えず、ずっと独身でぶらぶら暮らしてきたのです。元来、人間として遊んでいるほど大きな罪悪はありませんが、とても二度と医者をやる勇気が出ないものですから、こうして勝手次第に諸々方々を飛びまわって、山川に親しむよりほかはありません。
さて、お語はわたしの開業当時に戻ります。ある日、わたしの病院へ二十七、八の、大きな腹を抱えた患者が診察を受けに来ました。わたしは彼女を見るなり、どこかで以前に見たことのある女だと思いました。そうして、彼女のひどくやつれた、凄いほど美しい顔を眺めて、なんとなくぞっとするような感じを起こしました。彼女は自分のお腹が大きくなったので診察を受けに来たのですが、診察してみるとそれは妊娠ではなく、明らかに肝臓硬変症、すなわち俗に言う“ちょうまん”で、お腹の大きいのは腹水のためであり、黄疸は目につきません