Classici giapponesi con furigana
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うしなわれたはんしん
失われた半身
豊島 与志雄
Leggi 失われた半身 (うしなわれたはんしん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.545 caratteri · 21 schermate
おれが冷淡になると、彼女は時折、愛情が少いと訴えたものだが、愛情なんていったい何物だ。
「ねーえ、」とそこに彼女はいやに力を入れて言う。「今日はいろいろなこと伺いたいの。あなたの昔のことや、今のお気持ち。洗いざらい打ち明けて下さらない。その上で、あたし、決心したいの。」
然し、今更なにを打明けることがあろう。おれだって、彼女のことをよく知ってはいないのだ。
彼女はあの鮨屋から程遠からぬアパートに住んでいる。八畳と六畳と炊事場との贅沢な家だ。窓や戸の構えは洋風だが、中は畳敷きで床の間もある。箪笥を二棹おきならべ、低い用箪笥の上には神棚の金具が光っており、ラジオの横には二挺の三味線、それから長火鉢や卓子、花が活けてあることもある。五日おきぐらいに、おばさんとかいう人が手伝いに来てくれるそうだが、凡そ女一人の住居としては清浄に整いすぎている。そして彼女はカフェーの昼間勤め、晩画はよく観るらしいし、競馬が始まればしばしば出かける。金はあるのだろうが、旦那という男はあるのやらないのやら。たぶん芸者上りかなんかだろうが、生活にしろ経歴にしろ、訳の分らぬ女なのだ。