Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9487 caratteri · 19 schermate
それより更に閉口したのは、滅多に手洗にも立てないことでした。生身の如来が繁々便所に立つということは、どんなに冒涜的で馬鹿馬鹿しくて、そしてべらぼうなことでしょう。
こんな矛盾した心持で幾日か経ちました。お竹大日如来の人気はいよいよ増すばかりで、刷物になり狂言にも仕組まれ、一世のジャーナリズムを沸騰させ、江戸ッ子を総気違いにしてしまいましたが、本人のお竹の心持は次第に暗く鬱陶しく、そして結ぼれて行くばかりだったのです。
玄沢坊がこの家に現われてから一ヶ月目、ある月の無い晩のことでした。お竹は到頭たまりかねて、贅を尽した自分の部屋から、そっと脱け出してしまったのです。
外は漆で塗った様な闇、一文無しの如来様が白無垢を着たなりで、一体何処まで行かれるでしょう。
お竹は縁側に立ちフト迷いました。自分をこの迷信のるつぼから救い出してくれるのは、佐久間の倅の伊太郎か、手代の与三郎の外には無いような気がしましたが、この二人のうちには不思議な不純さを感じて、考えただけでもゾッと身内を顫わせるものがあったのです。お竹の透明な心には、内儀のお杉を殺したのは、自分を庇ってくれる気で、ツイやり過ぎた金助で、金助を殺したのは、それを知った伊太郎の仕業ではないかと思ったのです。