Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.286 caratteri · 20 schermate

Aozora Bunko

「――拙者は、金森頼門」

「えッ」

「当国の領主金森兵部少輔の養子、金森出雲守で御座る」

遠藤父娘を驚かすために用意したとしたら、これほど効果的な言葉が外にあるでしょうか。

「――――」

父の主膳も、娘の桂も、暫くは黙然として、唯驚きの眼を見張るばかりです。

「お気の毒乍ら、金森家の御嫡、出雲守頼門殿と聞いては、この縁談確とお断わり申す」

「それはまた何故?」

「唯の浪人、土岐亥太郎殿なら、喜んで不束な娘を差上げましょうが、――」

遠藤主膳は言うのです。曾ての偽者の金森出雲守に言ったと同じように、自分の素性――美濃の前国守遠藤常久の弟であったことから始めて、金森家の暴政悪政の数々を数え挙げ、

「――この金森兵部少輔殿の御嫡に、遠藤主膳の娘を差上げられようか。当国幾万の百姓が塗炭の苦しみを嘗めて居る時、御貴殿は父上を諌める気力もなく、山中に逃避して、女子供の機嫌を取るとは何んという痴事」

遠藤主膳の声は次第に熱するのです。

「一々御尤も、そう言われると面目次第も御座らぬが、拙者にとっては八幡城を遁れて、山に入るのがせめても反逆で御座る――強力に存分に、思うところを押し進むる父上に、私風情が逆うことなど思いも寄らない」