Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.447 caratteri · 21 schermate
怪しい修験者
話し手の小栗緑太郎は、京姫の話を打ち切って、いきなりこんな註を入れるのです。
「――その癖我々は、千万人の中からでも自分の恋人を見出し、百間の外へ近づいた恋人の足音でさえ聴きつけるのです。それほどの恐しい敏感を持っている癖に、退いて考えると、恋人の顔だけはどうしても思い出せないから不思議ではありませんか」
小栗緑太郎は続けました。
――青侍の村松金之助は、この恐しい悩みに囚えられたのです。それも何時如何なる時でも、自由に逢える恋人なら、何の悩みも無かったでしょうが、提灯に釣鐘ほどの不釣合な相手で、平常は新御殿奥深く引込だまま姿も見せず、偶々外へ出る時は、厳重に閉された女乗物に納まって、下々の者には着物の端っこさえも見せないのです。
その恋の相手、京姫を一と眼見たいという大それた望みが、村松金之助をさいなみました。
怪しい修験者
散々悩み抜いて、骨と皮になった村松金之助は、或る日フト「どんな望みでも叶えさせてやる」という評判を取った、浅草山の宿の修験者大寿院の話を小耳に挟みました。
それは恐しい邪悪な売僧であったにしても、もう一度京姫の顔が見度いという外は、何の望みもない村松金之助に取っては兎にも角にも救いの神でした。