Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.235 caratteri · 22 schermate
私は四人のコックを雇い、日本一の料理場を造って、四方に美味を求めました。私の力と財を傾け尽して、この七年間、私は美味の探求に生活を打ち込んでしまったのです。そして、その結果到達したところは、――皆様に私はそれを報告したいのです。甚だ極りの悪いことですが、懺悔のためにお聴き下さい。私は嘗て政治家として一方の異材と言われた、木下謙次郎氏の書いた『美味求真』という食味道の著書の『悪食篇』にあるような、世にも浅ましい悪食に走った私の趣味を、全くどうすることも出来なかったのです」
伯爵海蔵寺三郎の顔は引歪みました。そして悩ましい苦笑を押し拭いながら、なおもこの話を続けるのです。
「私は曾て旗本の悪童共、水野十郎左衛門、加賀爪甲斐が試みた闇汁のように、無気味な昆蟲や蛇や、あらゆる悪食に箸をつけました。獅子の胎児も、海豹の睾丸も、物の数ではありません。――御安心下さい、皆さんは変な顔をしておいでですが、今晩召上った料理は、極めて正統派的なもので、決してそんな悪食趣味のものではありません」
暫く無気味な沈黙はつづきました。そう言われて一応安心はしたものの、先刻舌鼓を打った料理が、毛蟲や蛇の卵でないと、誰が本当に保証するものでしょう。